ヘアメイクアーティスト・エマブールの小川敬子です。
あなたは普段メイクをするときに使っている道具の1つに、メイクブラシがあるのではないでしょうか?
とくにチークやリップ・眉用アイシャドウを使ったメイクでは、メイクブラシを使うことがとても多いと思います。
わたしも仕事でメイクをするときはメイクブラシ・指・チップを使ってメイクをするので、これらはメーカーなどはちがっていてもあなたとおなじです。
大きくちがう点でいうと、「エアブラシ」という道具をベースメイクのときに使っていることです。

今日はわたしが仕事でエアブラシを使うようになったいきさつや、エアブラシによるメイクの長所・短所についてご紹介していきたいと思います。
エアブラシメイクを知るようになったきっかけは、「ハリウッドエアー」というメーカーのエアブラシのコマーシャルをテレビで観たことです。
深夜によく放送されていたのですが、肌の表面にファンデーションを吹きかけるだけでシミやニキビ痕などの気になる肌トラブルが、ウソのようにキレイに消えていったんです。
これは当時のわたしにとってはとても衝撃的でした。
その当時わたしはヘアメイク事務所に所属をしていて、ブライダルヘアメイクを担当していました。
結婚式をひかえるご新婦様のおなやみでもっとも多いのが「肌のなやみ」です。
シミやシワ・ニキビ痕はもちろんですが、結婚式前は準備にとてもいそがしくなるので、睡眠不足によって目のしたのクマが濃くなってしまったり、当日になって大きなふきでものができてしまう方もたくさんおられました。
これらのトラブルはコンシーラーを使ってカバーをしていくのですが、キレイにカバーすることができてもかえって白く目立ってしまったり、たくさんふきでものができてしまっているばあいはカバーするのにとても時間がかかってしまうので、わたしの中ではメイクをするうえでのなやみの部分でもありました。
そのときにこのエアブラシメイクを見て、(この技術を絶対に使えるようになりたい!)と強く思いました。
ハリウッドエアーのエアブラシは通販で買うことができたので早速取りよせたのですが、使ってみるとテレビで観ているよりもずっとむずかしかったんです。
理由としては、
・顔から離してファンデーションを吹きだすため、近すぎるとその部分だけが白くなり、遠すぎると顔全体にファンデーションをつけるのに時間がかかってしまう。
・肌色の上にファンデーションの肌色をのせるため、ファンデーションの付いている感じが分からず、とてもムラのある仕上がりになってしまう。
このような点がまったく改善できなかったからです。
特殊メイクの世界ではエアブラシはメイクのときの必需品です。
そのこともあって、とても有名な特殊メイクアップアーティストさんにお時間をいただいてエアブラシの使い方のアドバイスをいただいたのですが、それでもまったく意味が分からず、結果として使うことが無くなってしまいました…。
それから数年が経ってフリーランスになる決心がついたころ、特殊メイクも盛んなハリウッドにエアブラシメイクの勉強に行こうか、それともニューヨークで最先端のメイクを勉強しようかと悩んでいたのですが、幸運なことにロサンゼルスでエアブラシの技術を8年間学ばれた方とご縁をいただくことができ、その方のもとで3日間の集中講習を受けてようやくエアブラシを使えるようになりました。

ニューヨークから帰国し、本格的に日本でフリーランスのヘアメイクアップアーティストとして活動をはじめ、仕事でエアブラシを使うようになっていたのですが、エアブラシの短所になやみ、またしばらく使わなくなってしまった時期がありました。
そのなやみというのが、
・ベースメイクを仕上げる時間が、メイクブラシや手を使って仕上げるよりも時間がかかる。
・とてもナチュラルな仕上がりになるため、肌の質感的に撮影では仕上がりがあまり良くない。
・メイクが終わったあと、すぐに洗浄しないと中でファンデーションが固まってエアブラシがつまってしまう。
という点でした。
エアブラシはファンデーションを0.3mmほどのほそい穴から吹きだして塗っていくのですが、ファンデーションが霧状に吹きだすため何度もうすくかさねてファンデーションに厚みを出していきます。
時間をかければベースメイクを撮影向きの仕上がりにつくり上げることができるのですが、ブライダルも撮影もすべてメイクにあたえられている時間が決まっています。
テレビ局のドラマ撮影で女優さんお1人のメイクを仕上げるためにもらえる時間は1時間30分だそうです。
わたしたちの現場でも決められた時間内でヘアセットとメイクを仕上げなければならないので、メイクに使える時間は30分ほどになります。
そのなかでゆっくりとベースメイクに時間をかけることはできません。
またエアブラシは1つ買うのに1万円以上の値段がするため、ファンデーションが詰まって使えなくなったからと言ってすぐに買い替えていては経費がかかりすぎてしまいます。
そのためメイクが終わったらすぐに洗浄する必要があるのですが、外でのロケーション撮影などのときにはすぐに出発しなければならないのでどうしても洗浄まで手がまわらないときもあります。
コストや時間のロスを考えるとデメリットの部分が大きいように思えますが、いま、わたしがあらためてエアブラシをメイクに取りいれているのは、デメリットを上まわる長所があると実感しているからです。
それは、
・メイクをくずれにくくする効果がある。
・ファンデーションの上からさらにエアブラシでファンデーションをかさねても厚ぬりにならない。
・写真修正がほとんどいらないほどきれいに仕上がるので、写真データの画質を損ないにくい。
・肌に触れずにメイクができるので肌ストレスを感じることがない。
という点です。
ベースメイク自体は市販のファンデーションを使っていまも仕上げていますが、いままでコンシーラーを使ってカバーしていたシミやクマなどの肌トラブルは、すべてエアブラシを使ってカバーしています。
また結婚式のお色直しのように、途中で髪型やメイクを変える必要が出てきたばあいのベースメイクのお直しは、いままであればパウダーファンデーションを使っていましたがいまはエアブラシを使っています。
パウダーファンデーションだと仕上がりがマットになってしまったり、肌に厚みが出てしまいますが、エアブラシメイクはファンデーションを霧状にして吹きかけるため、厚ぼったくならず自然な肌ツヤを出すことができるからです。
また速乾性があり、ファンデーションの肌への密着度も高いためメイクくずれもしにくくなります。
そしてエアブラシを使う最大の魅力が、肌に触れずに肌トラブルをカバーできることです。
ファンデーションを手やメイクブラシを使って塗ると時間の短縮はできますが、肌をこすってしまうため肌の摩擦によるストレスはすくなからずとも出てきます。
その点、エアブラシは写真のように顔からはなしてファンデーションを吹きかけるため、肌の摩擦がまったくありません。
またタトゥーもキレイにかくすことができるほどのカバー力があるので、濃いシミや赤くなっているニキビもとてもキレイにカバーすることができます。
これはファンデーションをすこしずつ何度もかさねながらベースづくりをしていくからこそできる技でもあります。
この写真は修正がほとんど入っていません。
濃いシミなどはすべてエアブラシでカバーしているのでとても自然な仕上がりになっています。
いまはわたしにとってエアブラシはお守りのような存在になっていて、使わないかもしれない現場でもかならず持って行くようにしています。
また肌トラブルのほとんどないご成人されるお嬢様のメイクにも、ベースメイクの仕上げとして使うようにしています。
いまは撮影・カメラの技術が大はばに進歩しているので写真の仕上がりをとてもうつくしくすることができますが、肌のシワを消したり肌の表面をなめらかにするために修正を入れると、どうしても写真の仕上がりに不自然さが出てしまいます。
写真の加工アプリやプリクラの写真って不自然な肌質になっていたりしませんか?
あそこまでにはなりませんが、写真修正をするとどこか不自然さを感じる仕上がりになってしまいます。
わたしはその不自然さがとてもきらいです。
なぜかというと、わたしの作品ではないような気持ちになるからです。
また結婚式に言えることですが、結婚式は写真だけでなく、じっさいにご家族様やご友人様がお2人の近くにこられてお話をする機会がたくさん出てきます。
そのときに写真で撮ったのとおなじようなベースメイクの仕上がりにしてあげたというのも、エアブラシを使う理由の1つです。
写真はキレイだけどじっさいのメイクではシミがカバーしきれていなかった。
ということがあったとしたらとても悲しいですよね。
自然なメイクで最高にうつくしい仕上がりにできるのがエアブラシメイクの最大の魅力。
これからもたくさんの方によろこんでいただけるよう、エアブラシをしっかりと使っていきたいです。
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